CVR2-3倍増、公式サイト経由の予約比率47%達成の裏側。京都の町屋旅館「Nazuna」がショート動画で伝える”ありのまま”の魅力とブランド戦略
京都の町家をリノベーションしたユニークな高級旅館を展開し、ミシュランガイドで「特に快適な宿」として5年連続で選出されるなど高い評価を得ている株式会社Nazuna。同社は、企業理念に「おせっかい革命」を掲げ、画一的なサービスではなく、スタッフ一人ひとりの主体性から生まれる温かいおもてなしで、顧客との間に感動的な体験を創出しています。
そんなNazunaが、顧客体験のさらなる向上とブランド価値の的確な伝達を目指し、動画マーケティングプラットフォーム「Firework」を導入。公式サイトにショート動画を設置したことで、コンバージョンレート(予約率)が2〜3倍に向上したほか、サイトへの流入数や滞在時間も大幅に増加しました。
今回は、株式会社Nazuna代表取締役の渡邊龍一氏に、Firework導入の背景にあった課題や、ブランドの世界観を損なわずに施設の魅力を伝える動画活用のポイント、そして今後の展望について詳しくお話を伺いました。
導入前の課題:写真や文章では伝わらない「町家の魅力」と「ありのままの姿」
― Firework導入前、どのような課題がありましたか?
渡邊氏:私たちの施設は町家をリノベーションしているため、少し特殊な作りになっています。もちろんバリアフリーではなく、段差や階段が多い。これがお客様からのクレームにつながってしまうことがありました。
これを悪い口コミにしないためには、ご予約いただく前に「私たちの施設はこういうものなんですよ」ということを正しく理解していただく必要がありました。しかし、文字情報は、海外のお客様も含めてほとんど読まれません。かといって、階段や段差の写真をそのまま載せると、まったく魅力的ではなく、むしろブランドイメージを損なう恐れもありました。
施設のありのままの姿を、ブランドイメージを維持しながらいかに伝えるか。それが大きな課題でした。

Fireworkを選んだ理由:ブランドイメージを維持し、体験価値を伝える最適解
― なぜ、その課題解決に「動画」というフォーマットを選ばれたのでしょうか?
渡邊氏:施設の特性を理解していただいた上でご予約いただければ、お客様とのミスマッチが減り、お互いにとってハッピーな滞在になると考えました。そのための最適な手段が、15秒から20秒程度のショート動画だと判断したんです。
写真だと、ブランディングを考えた時にネガティブな要素は伝えづらい。ですが、動画であれば、全体の魅力的な雰囲気の中に、階段を上るシーンなどを自然な形で一部に入れることができます。ブランドイメージを維持しながら、ありのままをお伝えするには、動画が一番適していると思いました。
また、私たちは「町家という伝統建築物に泊まる体験」そのものを価値として提供しています。そうした体験価値を訴求する上で、動画は非常に相性が良いと感じています。

導入後の成果:CVRは2-3倍に向上、公式サイトへの流入と滞在時間も大幅増
― Fireworkを導入して、どのような効果がありましたか?
渡邊氏:効果は明確に出ています。まず、公式サイトへの流入が顕著に増加しました。動画があることで、静止画だけでは伝えきれなかった施設の魅力が伝わり、ホームページの滞在時間も伸びています。
そして最も大きな成果は、予約への影響です。コンバージョンレートは、肌感覚ですがおおよそ2〜3倍に成長しています。は伸びていると思います。
― 素晴らしい成果ですね。
渡邊氏:はい。Nazunaでは「OTAに頼らないブランド主導の宿泊予約構造」を戦略の柱に掲げており、SNS広告を自社で運用するなど様々な施策に取り組んでいます。Fireworkの動画導入もその重要な一手となり、結果として2024年の自社サイト経由の予約比率は業界平均の3倍を超える47%に達しました。

ブランディングへのこだわりと動画制作のポイント
― 動画を制作する上でこだわっている点はありますか?
渡邊氏:SNSに投稿するようなカジュアルなものではなく、あくまで公式サイトに掲載するものとして、ブランドの世界観を維持することを最も重視しています。そのため、動画はすべて自社でブランドを意識して制作しており、一般の方の投稿(UGC)を公式サイトで使うことはありません。
― UGCを活用しないのはなぜでしょうか?
渡邊氏:一般の方の投稿は、時に私たちが伝えたいメッセージとずれてしまう可能性があるからです。例えば、最近SNSでは「コスパがいい」「食べ飲み放題でお得」といった切り口が好まれますが、私たちが届けたいのはそうした価値ではありません。価格で選ばれたお客様が宿泊されると、私たちが大切にしている「おせっかい」というサービスとのミスマッチが起こり、結果的にご満足いただけない可能性があると考えています。
― 経営者として、ブランドメッセージを非常に重視されているのですね。
渡邊氏:そうですね。私は今でも自分でメタ広告を運用しているのですが、それは経営者がお客様のデータを直接見ることで、顧客理解を深めることが重要だと考えているからです。何万人、何十万人というデータから顧客の傾向を掴み、私たちが届けるべきメッセージを研ぎ澄ませていく。動画もそのメッセージを伝えるための重要なツールと位置づけています。

今後の展望:日本の「おせっかい」を世界へ
― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
渡邊氏:まずは全国展開を進め、7〜8年後には海外展開も視野に入れています。特に、文化的に近く、お客様の層も親和性が高い韓国や台湾、香港といったアジア圏から挑戦したいですね。
日本の観光は世界から高く評価されていますが、日本のホテル運営会社が海外で十分に活躍できているとは言えません。私たちは、日本の旅館が持つ本質的な良さ、私たちの言葉で言う**「おせっかい」というサービスを、会社の文化として世界に広げていきたい**と考えています。海外の方々は日本が好きですから、きっとこの挑戦は成功すると信じています。コロナ禍の厳しい状況を乗り越えられたように、これからもポジティブに挑戦を続けていきます。

【本事例での導入サービス】
Fireworkは、Webサイトやアプリに動画・ライブコマース機能を導入し、顧客エンゲージメントを高める動画マーケティングプラットフォームです。
SNSと同様の縦型ショート動画を自社サイトに実装し、視聴から購入までをシームレスに繋げる顧客体験を提供します。 また、視聴データと自社の購買データを連携させることで、詳細な効果分析も可能です。
詳しくはこちら:https://firework.com/jp





